「わかったつもり」が起きる理由
「解説を読んだときはわかったのに、いざ自分で解くとできない。」
この経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。今回は、この「わかったつもり」がなぜ起こるのかを整理してみたいと思います。
人は説明を読んだり聞いたりすると、「理解した感覚」を持ちます。これは、情報が頭の中に“入った”状態です。しかし、実際に問題を解くときには、その情報を自分で“取り出し”、組み立て直さなければなりません。いわゆる入力と出力ですが、これは似ているようで全く別の作業です。また、皆さんが勉強のときに使う参考書の解説は、思考の流れが整った形で示されています。無駄がなく、順番も明確です。その流れを追うことはできても、自分で同じ順番を再現できるとは限りません。ここに「わかったつもり」が生まれます。
脳科学では、記憶は「思い出す」行為によって強化されると考えられています。読むだけでは定着は弱く、実際に自分で解いてみることで神経のつながりが強くなります。「わかった」と感じたあとに、自分の力で解き直すことが必要なのです。もし解けなかったとしても、それは理解していないという意味ではありません。どこが曖昧なのかが見えた状態です。その確認こそが、本当の理解への一歩になります。
