公立高校入試が実施された3月6日、KATEKYO学院・岩手県家庭教師協会では、専属プロ講師、教務スタッフが集まり、入試問題の分析会を実施しました。各教科の出題傾向についてお知らせしますので、来年度の受験を控えた新中3生は是非今後の受験勉強に役立ててください。
【国語】
大問の構成、小問数ともに大きな変化はありませんでしたが、記述問題の総記述量は昨年度の190~245文字から220~255文字となっており、“書かなければ点数にならない”傾向は年々強まっていると言えます。一方で選択問題における各選択肢の文字数は減少しており、昨年の約2200文字から1400文字と読みやすくなったことから、全体としては易化したと言ってよいでしょう。
大問3(2)の俳句の作成および作成した俳句の説明文を記述させる問題は今までに見られないものでした。難易度そのものはそれほど高くありませんが、苦手意識や“恥ずかしさ”を感じて、ペンが止まってしまった生徒もいたと思われます。
新しい知識を得たら、それを使いこなすために前向きに努力する姿勢が大切です。与えられた条件の中で、自分の持っている知識を表現できる力を身につけていきましょう。
【英語】
問題構成、難易度とも、全体的に大きな変化は見られず例年通りの出題でした。
大問8では、本文に合致するグラフを選択する問題が出題され、過去に出題されたグラフの読み取りを要する問題と同様に、本文とグラフを照らし合わせながらの深い読解力が求められるものでした。また、大問8(4)「身近にある電気製品や電子機器が自分にどのような影響を与えているか」というテーマでの自由英作文は難易度の高い出題でした。どのような製品、機器について記述するか、どういった影響を受けているかなど、日本語で内容を考えるだけでも苦戦した生徒もいたのではないでしょうか。
こういった自由英作文は今後も増えていく傾向にあります。ここ数年、英検でもライティング問題が追加されました。自分が知っている単語・文法という限られた条件のなかで、自分の言いたいことをいかに工夫して書くことができるかの練習を普段からしておくことが大切です。
【数学】
大問は12題と昨年より1題減少しましたが、その分の配点は難易度の高い問題、低い問題の両方に振り分けられており、点数配分は例年通りバランスの取れた問題となっています。全体的に見ると、後半の「2次関数」、「空間図形」、「生活に密着した問題」の小問(2)は昨年よりやや解きやすくなっていますが、中盤の「面積比」、「文章題」、「確率」の問題は難易度が高く、時間を要したと思われます。
大問7(2)の確率、大問12(2)の生活に密着した問題は、どちらも条件に合う場合をもれなく考えて表現できるかがポイントでした。問題文から正確に情報を読み取って条件に対応できる柔軟性、限られた時間内で冷静に判断しすべての場合を緻密に書き出して処理する能力が求められました。
数学は特に積み重ねが大切な教科です。以前に習ったことで抜けている知識があったら、すぐに復習し、理解して進む習慣をつけることが点数アップの近道となります。
【理科】
例年通り大問は7問、4領域からバランスよく出題されました。小問は32問と昨年度の35問から減少し、記号問題も16問配点42点分と、昨年度の21問59点分から減少しています。
大問4の物質を見分ける問題は、物質の種類が多く、それぞれの物質の様々な性質について総合的な知識が求められました(4)は実験方法と結果を説明する記述問題で、配点が5点であることも含めて、目新しい出題でした。
大問7(4)のhPaからNを求める計算問題も、見慣れない問題だったと思われます。気圧の変化を資料から読み取り、hPaからPaへ、PaからNへと変換できるかがポイントとなりました。
教科書やワークで基本事項をしっかり定着させることが大切です。また、今年度の問題では計算問題は少なかったですが、公式をしっかり覚え、特に小数や比例式の計算を確実にできるようにしておきましょう。近年は暗記だけでは解答できない問題が目立っています。基本的な知識を前提に、図表や資料から必要な情報を読み取り正解を導き出す力を、過去問などを通して身につけていきましょう。
【社会】
昨年度はやや歴史・地理の比重が高い問題構成でしたが、今年度は3分野からバランスよく出題されました。
7(4)アンケートの結果をもとにした話し合いに関する文章記述問題は、それぞれの意見を導くために、その根拠となるデータを多角的に読み取る力を問う、新しい傾向の問題でした。一方で、ある社会的事象に対して利点と課題の両面に目を向けて考えさせる問題(大問9(3))や、複数の資料やグラフ・表などの統計を読み取り、論理的に考察・判断する力を問う問題(大問8(2))など、例年同様の出題傾向となる問題も見られます。5(4)では、ある事象・事実を裏付けるために、問題に提示されている資料に加えてどのような資料が必要なのかを論述させる問題が、H28年度以来復活しました。
まずは教科書準拠のワーク教材で基礎・基本の知識を定着させましょう。そのうえで、過去問や受験用教材を使用して、資料・統計を読み取る際に学習した知識を活用し、解答を仕上げる力を養成することが必要です。入試で出題される、物事をさまざまな角度から見る必要がある問題や、5(4)のように、練習問題の少ない問題への対策には、過去問を活用して傾向や出題パターンをとらえることが大切です。最低5年分、できれば10年分は解いておきましょう。